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P4Memo

P4Memo 要は萌の発露

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2025/07/22(Tue)08:50

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小話

2008/12/10(Wed)00:04

ふいに浮かんだので書いてみた。

女主人公と男直斗のお話。
短いですが、読んでやるぜという方は『つづきはこちら』からどうぞ。

*****

 事件の関係者であるだろうその人を見かけたのは偶然だった。

 まだ、彼女が関係者である事を知らなかったころの事。
 稲羽署に依頼された事件の捜査報告に寄ったその日、刑事課の中でも一目置いていた堂島さんのもとに現れた一人の女性。

 白磁の肌にセピア色の瞳。
 日本人なのだろうかと疑問に思うような色素の薄い、柔らかそうな長い髪。
 ひどく綺麗だが、どこか冷たさが漂うようなその人。

 一人で堂島さんを待っている時は表情も硬い印象だったのに、待ち人が現れた瞬間にほころびた口元と優しげに細められた目。
 あまりにも劇的な変化に驚きを隠せなかった。

「キレイな子でしょ」

 ふいに隣から軽い口調で声をかけられた。
 稲羽署の刑事で堂島さんの相棒である足立さん。
 飄々とした口調と態度の人で、堂島さんに怒鳴られているのをよく見かける人だった。
 確かに堂島さんの相棒をしているのだから、彼の人間関係も知っているだろう。

「どなたなんですか?」

 事件に関係のない事なら気にかけたりもしない僕が、彼女に興味を持った事に驚いたのか、足立さんは大げさに目を見開いてからニヤリと口元を歪めた。

「彼女ね、堂島さんの姪御さん。神凪伊月ちゃんって言って、料理がまた上手いんだよねー」

 神凪伊月・・・。
 心の中で、呟いて彼女、神凪さんをみる。

 相変わらず談笑している二人。
 彼女が持っていた小降りの紙袋の中ならお弁当箱らしき大きさの薄い箱を取り出し、それを堂島さんに手渡す。
 その瞬間の堂島さんの少し照れた様子を見てなぜかチリリと胸が焼けたような気がした。

「あ! 堂島さん、伊月ちゃんの手作りお弁当貰ったんですか? いいなーっ! ぼくにもくださいよ!」

 それまで隣にいたはずの足立さんが大声で話しかけながら彼に向かっていく。

「バカ! 声がでかい!」

 そう叱る堂島さんもまた声が大きかったのだが、これが二人のコミュニケーションらしいので周囲の人たちはたいして気にしていないようだった。
 そんな二人を見て、笑みを深めた伊月に視線が移る。

「!」

 まるで花が咲いたような華やかさにクラリとした。

「?」

 なんだか先ほどから何か変だ。

 視線が、彼女から離れない。
 もっと、彼女の事を見ていたい。
 彼女の事を知りたい。

 そんな欲求が心を占める。

 あまりにも見つめ続けたせいか、彼女の視線が僕に向けられる。
 目が合う瞬間、僕は反射的に彼女に背を向けていた。

 おかしい。
 本当におかしい。

 僕は額に手を当てた。
 目が合うくらい、大したことではないのに、なぜこんな過剰な反応を返してしまうのか。

「どうしたのー? 白鐘くん」

 足立さんの大声が聞こえる。
 僕は振り返る事を恐れてそのままその場を足早に去った。

 なぜこんなにも鼓動が早いのか。
 足早に移動したからというだけでは説明できないほどの、早鐘を打つ心臓と感情の高揚を感じていた。

 脳裏に浮かぶ、綺麗なその人の姿。
 打ち消そうとしても、消えてくれない残像。

 僕はその日以来、理解不能な感情を抱えるようになった。
 そしてたびたび町中で出会う時、必ず事件の関係者のもとであることを知る。

 彼女が事件の犯人なのかもしれないと思うたびに軋む心。

 僕はまだ、この感情が何を指すのか理解できてはいなかった。


*****

女主人公と男直斗。
やっちまったぜ!感が溢れるお話でしたが楽しんでいただけたでしょうか?

何気に足立初書き(笑)
こんなんでよかったのだろうか・・・。

ちなみに書き出してから主人公の女名を考えました。
結局、読み方いっしょ^^;
思いつかなかったんだーっ!

 

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No.18|小話(性転換ネタ)Comment(0)Trackback()

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