性転換ネタその10
女性主人公で本編その1でございます。
モノローグ中心かな。
というか、イゴールと打っただけで悲しくなってきました(涙
ご存知の方も多いと思いますけれど、イゴールの声を演じていた方・・・亡くなられたんですよね・・・。
ご冥福をお祈りいたします。
あなたの味のある声、大好きでした。
あなたの声は私の心の中でずっと忘れずにあり続けます。
楽しい時間をありがとうございました。
・・・さて、しんみりとした空気はひとまず終わり。
ここからは楽しく、いきましょう^^
と言う事で、お話を読んでくださる方は「つづきはこちら」からどうぞ。
女性主人公でゲーム本編その1。
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転校してから半月がたった。
他の生徒たちよりも数日遅れて一学期がスタートしたけれど、特別勉強に付いてこれない訳でもなく、転入早々友達も出来た。
学校生活において順調と言える滑り出しの生活だ。
それについて、なんら問題はなかった。
担任の先生についてなんらかの問題は感じつつも、たいして大きな問題でもないので放っておいても良いだろう。
けれど、それ以上に問題だったのは、この小さな町にまことしやかに流れる噂についてだった。
雨の日の午前零時にテレビを見ると運命の人が見えるという、噂。
やってみようよと、転校初日に仲良くなった千枝が言ったので、同じく転校初日に仲良くなった陽介と共に胡散臭いと思いつつ試したら本当に電源のつけていないテレビに『何か』が映った。
鮮明ではないその映像では『何か』を判明する事は出来なかったが、同時に脳裏に響いた謎の声。そして、引き寄せられるように伸ばした画面に引きずり込まれ、危うくテレビの中に落ちるところだった。
幸いテレビが小さかったのでそんな事にはならなかったが、問題はそこではない。
噂のどこまでが本当かは分からないが、事実テレビに『何か』移った事。
脳裏に響いた謎の声。
そして、テレビの中に吸い込まれたという事実。
これだけ揃えば普通ではない事は明らかだった。
挙句、実験結果を報告したその日のうちにテレビの中に落ちれば、形はどうであれ関わっていくしかないとそう思った。
そういえば、稲羽に来た時も不思議な夢を見た。
私の運命が待っていると、あのイゴールと名乗った老人が言っていた。
これが、私の『運命』。
これだけの非日常が隣り合わせにあって、どうして無関係であると思えるのか。
今まで、こんな事一度だってなかった。それが稲羽に来たとたんに数々の謎にめぐり合ったのだ。
待っている運命がこれであると思わずにはいられない。
けれど同時に『なぜ』とも思った。
なぜ、私なのか。
私はこれまでこれ以上もなく平穏な日々を送ってきただけの子供なのに。
分からない。分からないけれど、今、こうして巻き込まれている事実。
陽気な陽介の抱える闇を知り、明るく元気な千枝の闇を知った。
私の中の、私自身が覆い隠している闇は何なのだろう。
私は私自身へ恐怖を覚えた。
「元気ないね、伊月」
「え?」
「なんだか、考え込んでる?」
心配そうに顔を覗き込んでくる千枝。
私はそんな彼女に笑みを浮かべた。
「そんなことないよ」
「そう?」
納得できないと言うように眉を寄せる。
そんな千枝に私は苦笑を零した。
今、私のことなんて気にかけていられるほどの余裕もないのに、こうして心配してくれる優しい千枝。
そう。彼女は今、私たちの誰よりも心を痛めていた。
それは千枝の親友である天城雪子が例のテレビに落とされて自身の心の闇と対峙しているからだ。
千枝自身が経験した己の一番見たくないものを見せられている。
それを知っているだけに、誰よりも親友を助け出したいと願っているはず。
それはそばにいる私も、そして陽介もひしひしと感じていた。
「ペルソナって、なんなのかなって考えてたくらいで」
「ペルソナかぁ・・・」
陽介が、千枝が、自身を受け入れた時生まれたもう一人の自分。
けれど私のは、自分の闇を知ることなく生まれたもう一人の自分。
「確かに、何なんだろうねアレ」
「うん」
「でも、雪子を助けるためには必要な力だって事だけは分かる!」
ぐっと、手を握り締めるその姿に、私は頷く。
なぜ。何故。ナゼ。
謎は、たくさんある。
けれど、私はそこから逃げ出したくなかった。
いつか、二人と同じように自身の闇を目の当たりにするのかもしれない。
その時、私は私でいられるのだろうか。
その恐怖はあるけれど、二人が乗り越えた壁を私もまた乗り越えてみせる。
たとえ、始まりは巻き込まれたものであっても、数多の道の中からこの道を選んだのは私なのだから。
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モノローグが中心になってしまいましたが、4月の女性主人公でした。
次回はもう少し、会話を増やしたい!
もっと楽しい日常を書きたいですわ~。
ではでは、また来月!
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