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P4Memo

P4Memo 要は萌の発露

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小話

2009/11/28(Sat)00:19

主直で小話!

読んでやるぜ! の方は「つづきはこちら」からどうぞ^^

テーマは11月。
この間も秋で小話を書来ましたが、それとは方向が違うお話ですよー。

*****



 金色の雨が降る。

 ぼんやりと霞む視界に降り注ぐ色の美しさ。
 日の光がそれを金色に輝かせているのだと気が付いたのは、冷たい風が体を包んだ時だった。

「風邪、ひきますよ」

 そうして鼓膜を振るわせる少し低めの声音。
 けれど、愛しい少女の声だ。

 知れば知るほど心を奪われた、可愛い直斗。

「・・・直斗」
「気が付きました?」

 その声は優しくて、俺の髪を撫でる手は暖かい。

「まだ秋とは言っても寒さが厳しくなってきました。こんな所で寝ていると風邪をひいてしまいます」
「うん・・・」

 でも、体が動かないんだ。

「体が冷え切っていますよ。いつからこんな所にいたんですか?」

 手をさすり、暖かい息を吹きかけられて、それを見ていてなぜか泣きそうになる。

「なんな顔を・・・しないでください」

 握られた手に頬が添えられた。
 その温もりがさらに感情を高ぶらされて、俺は誤魔化すように空いた方の腕で目元を覆った。

 そのまま互いの間に沈黙が落ちる。

 ふと、その腕に何かが触れた。
 肌の柔らかさとは違うそれに気が付いて腕を見ると、そこには黄色のイチョウの葉が乗っていた。

 日の光を浴びて金色に輝いていたそれ。

 気が付けば体のあちこちに落ちていて、長いことこの体勢だったことを知らせていた。
 直斗に視線を移せば、彼女の帽子にもイチョウの葉が乗っていて思わず笑う。

「? なんですか?」

 俺が笑ったからか、直斗がほっとしたように目元を緩めた。

「これ」

 手を伸ばし、帽子に乗っていたそれを摘んで彼女に見せる。

「ああ。ついていたんですね」

 少し恥ずかしそうに笑う直斗。
 その照れた表情が可愛い。

「先輩も、たくさんついてますね。このままだと、埋もれちゃいますよ」

 俺の体に落ちていたイチョウを一つ摘んで笑う。

「・・・そうだね。一度埋もれてみたいかも」
「先輩・・・」
「冗談」

 眉を寄せた直斗に笑って答えて俺は体を起こした。

「どうせ埋もれるなら、ここがいいや」

 そう言って指さした場所。

「へ?」

 直斗がきょとんと目を丸くして、次の瞬間には頬を真っ赤にさせた。

「せっ・・・!」
「だめ?」
「う・・・」

 彼女はしばらく俺を見つめた後、頬を真っ赤に染めたまま小さくため息を吐く。

「い・・・今だけ、ですよ?」
「ありがとう」

 そうして、隣に座った彼女の胸元に顔を寄せた。
 柔らかなふくらみ。
 そこから聞こえる鼓動が僅かに早い。
 それでも、そのぬくもりは優しくて、俺はほっと吐息を零した。


 とくん。とくん。とくん。


 生きている、音。

 命の、音。



 ああ。よかった。
 直斗は生きている。

 当たり前だけど、それがとても嬉しかった。





*****

11月の後半頃。
いろいろ不安定な主人公とそれを支えたい直斗のお話でしたー。
うーん、次はもっと明るい話を書こう^^;

それでは!
また次回!

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No.129|小話Comment(0)Trackback()

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