幼馴染みパラレル3。
今さらですが、パラレルとするならもっと設定を変えればよかったなぁ。
なにも同じ高校生設定じゃなくても・・・(笑)
次に書く機会があったらその時はもっと違った設定にしたいと思います。
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放課後、言っていた通り陽介と共に下校する事になった樹は、下駄箱で小柄な後姿を見つけた。
「陽介。あの子、知ってる?」
「ん? 誰?」
「あそこの、帽子被った小柄な子」
樹の視線を追った陽介は彼を見つけると「ああ」と頷く。
「白鐘だよ」
「しろがね?」
「そ。有名な白鐘グループの御曹司」
「なるほど。どおりで聞き覚えのある名前だと思った」
テレビをつければ必ずと言っていいほどCMが流れる日本でトップクラスの企業だ。
その御曹司が先日出会ったあの少年だったとは驚きだった。けれどその事実よりももっと気になることがある。それは・・・。
「白鐘って、姉か妹か女の姉妹はいないのか? もしくは親戚とかと一緒に住んでいるとか・・・」
あの一瞬感じた面影は確かに当時一緒に遊んだ女の子だった。あんなにも似ているのに、親類じゃないなんて思えない。
あの屋敷は確かに彼女の家だった。その家に出入りしている白鐘がまったくの無関係だなんて思えないのだ。
「いや・・・聞いた事ないけどな。確か一人っ子だったはずだぜ。親戚と一緒に住んでるかどうかはさすがに知らねーなぁ」
少し眉を下げて申し訳なさそうにしたものの、陽介はすぐに表情をにんまりといやらしい笑みへと変える。
「なに? なんか白鐘と関係あんの? それも女と」
「いや・・・関係っていうか、こっちに住んでた時に偶然友達になったんだよ。昨日、その子が住んでいた家の近くに行ったらさっきの白鐘と会ったから何か関係があるのかと思っただけ」
「ふ~ん・・・」
にまにまと笑う顔に樹は眉をしかめる。
「なんだよ」
「いや~ぁ。・・・もしかして、初恋ってやつ?」
「え?」
違う。そう言おうと思ったのに声が出なかった。
それどころか妙に納得した心地になって樹は目を瞬かせた。
確かに、そうなのかも知れない。
あの日出会って、一緒に遊んで。
彼女の笑顔が見たくて見たくて仕方がなくて他の友達を放って毎日遊びに行った。いない日は悲しくてつまらなくて一日がとても長く感じていたのを覚えている。
この町に帰ってきて一番に思い出したのは彼女の事だった。
そのくせ彼女の名前を忘れてしまうなんて自分が情けない。
「そっか、初恋だったのか・・・」
「うわっ。そうきたか」
思っていたような反応が返ってこなかったからなのか陽介はつまらなそうに肩を竦めた。
「からかいがいがねーなぁ」
ぼそりと呟く彼に樹は苦笑を浮かべる。
「まいっか。んじゃ、心優しい俺が、白鐘の事でも話ましょーかね。何か手がかりになるかもしれないし」
「うん。頼むよ」
「おう! まずは名前だな。フルネームは白鐘直斗って言って、クラスは1年1組・・・だったかな? 成績は常にトップクラスで、スポーツは・・・あれ? あんま噂聞かないな」
知っている事を順次話始める横で、樹は琴線に触れた事を脳裏で繰り返していた。
白鐘、直斗。
直斗。なおと・・・。
なおと!
「思い出した・・・」
「は? あ、おいっ!」
どうしたんだよ!と背後で呼ぶ声がする。
けれど樹は構わずに走り出した。
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ようやく話が動き出した感じでしょうか?(笑)
次も頑張りまっす^^
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