性転換ネタその12。
女性主人公で(略)、5月編その2。
もう一つのあのイベントあたりの話。
読んでやるか。の方は「つづきはこちら」からどうぞ~。
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一瞬すれ違った時、その子はちらりと伊月を見上げたような気がした。
「なかなかの美少年、だったよね」
巽屋からの帰り、雑談を交わしていた自称特別捜査隊のメンバーは、ふと先ほどの店で出会った少年の話になった。
背が低いけれど整った顔立ちをした所謂『美少年』。
それに異論はなかったので伊月は素直に頷く。
「何才くらいだろ?」
「中学くらいじゃね? けっこう小さかったし」
「そうだね。体の線も細かったよね」
「この辺じゃ見ない顔だよね。あれだけの美少年だったら噂になっているだろうし」
そういうものなのか。と伊月は3人の話を黙って聞く。
確かに美少女と名高い雪子はどこに行っても話題の元になる。老舗旅館の一人娘と言う事もあるのだろうがけしてそれだけではないのだろう。
それに、この狭い田舎の町では噂が広まるのも早い。
あれだけの美少年が住んでいたら瞬く間に広がってしまっているのだろう事も容易に想像できた。
それにしても、と伊月は考える。
あの少年の、自分を見たときの目が気になる。
なんでもない事のように視線を逸らされたけれど、目が合ったその瞬間、彼の瞳の色は伊月を知っているそれへと変化した。
「どこかであったかな・・・?」
思い出そうとするけれど、記憶のどこにもあの少年の姿はない。
「なんだか気になる・・・」
「何が気になるって?」
ポツリと呟いた言葉が聞こえたのが三人が揃ってこちらを振り返っていて目を瞬いた。
「何? 知ってるの?」
首を傾げる千枝に首を振る。
「知らない。でも、もしかしたら・・・」
向こうはこちらを知っているのかもしれない。
狙われているだろう完二に近づく少年。
彼が何の目的で巽完二に接触をしたのかは分からない。
もし・・・彼がこの一連の事件の関係者だったとしたら、雪子を助け出した事で伊月たちもまた事件に関わっている事を知っているはずだ。
そう考えれば少年の、伊月を見る目の謎が解ける。
だが、現段階で彼を例の事件の関係者であると結び付けるには飛躍しすぎている気がする。
とにもかくにも、と伊月は一人頷いた。
「明日だ」
「?」
「ん? なんだ?」
一人で納得している伊月に三人は首を傾げていたが、今はまだ突拍子もないこの可能性を話すには早すぎると彼らには何も話さないことにしたのだった。
「明日、頑張ろう」
うん。と頷く。
仲間たちは互いに顔を見合わせていたが、伊月の真剣な顔に表情を改めて頷いた。
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忘れちゃいけない運命の出会い!編です(笑)
こっそり性転換ネタその1と繋がっていたりします。
まだお互い手探り状態。
でも、見過ごせない相手。
どんどん無視できない関係になっていくのであった!!
と言う事で、また来月に会いましょう^^
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