連続で性転換ネタ小話その4でっす。
今回は男直斗出るよ!
年下で、身長も自分よりも低く、可愛い彼氏はいかがですか?(笑)
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私の恋人は、私よりも背が低い。
もともと私の身長が女子の平均よりも高かったし、彼は男子にしては低かったからその差は15センチ近くあるかも知れない。
彼の背が私よりも低い事は、私にとって些細な事だ。
だって彼はまだ高校一年生で成長期の真っ盛り。いつかはぐんと大きくなって私を追い越してしまうだろうから。
けれど、彼は・・・白鐘直斗はそうは思っていないようだった。
一緒に歩いていても、なかなか隣を歩いてくれないしこちらを見てもくれない。
好きになったのは、好きだという気持ちは、身長なんて関係なかったはずなのに。
今、こうして一緒にいるのに、なんだか少しだけ寂しい。
「あの・・・先輩」
自室のソファで二人並んで座って話をしていたのだが、ふいに沈黙が降りてなんだか気まずい雰囲気になった時だった。
返事をする前に直斗はすくっと立ち上がると私の正面に立った。
自然と彼を見上げる。
彼がひどく恥ずかしげに視線を彷徨わせていて首を傾げた。
「どうしたの?」
問いかけると、直斗は困ったように眉を寄せながらも私の目をまっすぐに見つめる。
その瞳の色に私もどきりとした。
彼が求めているものに気が付いたから。
でも彼はいっこうに動こうともせず、私は焦れる。
彼は奥手だ。
分かってはいたけれど、やはりこういう時はすんなりとしてくれた方がこの気恥ずかしい緊張感が少しで済むのに。
私は彼の手を取る。
「!」
直斗はハッとしたように息を呑んで、ようやく、一歩私の方に近づいた。
肩に手が置かれる。
右手は繋いだまま、ギリギリまで見詰め合ってそしてそっと目を閉じた。
触れる柔らかな唇の感触。
本当に羽が触れるような軽い接触で互いの顔は離れた。
「・・・す、すみません。急に、こんな・・・」
少しの沈黙の後、直斗が頬を真っ赤に染めたまま言う。
「なんで謝るの? 付き合っているんだから、謝られる事じゃないと思うけど」
「そ、そうですねっ」
私の言葉にさらに頬を染める彼を見て思わず笑みがこぼれた。その私を見て、直斗もまた恥ずかしそうに笑った。
再び直斗は私の隣に腰掛けて、また私を見て笑う。
可愛いなぁ・・・。
口に出すと怒らせてしまうので言わないけれど、本当に直斗は可愛い。
私にはない可愛らしさがあって、羨ましいくらい。
そういえばなんでわざわざ立ったのか。
別にキスをするくらい、座ったままでもいいと思うんだけど。
首を傾げて、そしてすぐに思い至る。
「ねぇ、直斗・・・」
自分の推測が当たっているかどうか聞こうとして、けれど口を閉じた。
「なんですか?」
きょとんとこちらを見ている直斗に「なんでもない。ただ呼んだだけ」というと、恥ずかしそうに彼ははにかむ。
今一度その可愛さに頬が緩みながら、私は聞かなくて良かったと胸を撫で下ろした。
やっぱり、というかおそらく絶対、見下ろされる形でキスをするのが嫌だったんだろう。
そんな事を直斗に言ったが最後、彼はこの部屋から怒って出て行ってしまいそうな気がする。
身長を気にしている彼にそんな無神経な事は言えない。
だって私は、そんなコンプレックスを持っている事も含めて直斗が好きだから。
彼の嫌がることはしたくない。
今はまだ、隣に並んで歩いてくれないし互いに立っている時は目もなかなか合わせてくれない事が寂しいけれど、いつかきっとそんな寂しさもなくなると思うから。
だから今は。
「直斗、大好きだよ」
彼のまだ幼さの残る頬に心を込めてキスをしたのた。
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女主人公と男直斗のお付き合い後のお話。
なのだけど、付き合った後でも男直斗が積極的にリードを取るのをいまいち想像が出来ない(笑)
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