秋だし。
秋の話を書こうと思います(笑)
主直話!
と言うことで、読んでやるぜ!の方は「つづきはこちら」からどうぞ^^
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9月を過ぎると空気は一段と冷え込んでくるな、と樹は空を見上げた。
大きな入道雲があった空はいつの間にかうろこ雲が広がっていていよいよ秋が深まっていることを実感した。
「秋と言えば・・・食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、か。さて、どれにするかな」
顎に手をあて首を捻る。
どれも捨てがたい、なんて考えていると、
「あ・・・。神凪先輩・・・」
女の子にしては少し低めの声で名を呼ばれた。
「ああ、白鐘か」
つい先日、『自称特別捜査隊』の一員になった、見た目は男の子だが正真正銘の女の子・白鐘直斗。
最初の頃の棘が抜けて、少し雰囲気が柔らかく見えるのは気のせいか。
「体調はどうだ? あれからどこかを悪くしたりはないか?」
「はい。大丈夫です」
少しだけ笑みを浮かべた直斗に樹も笑みを返す。
やっぱり、女の子は笑っていたほうがいいよな、なんて心の中で呟く。
「なにをしていたんですか?」
「なにをしようか考えてた」
「え?」
「直斗は何をしていたんだ?」
「え? あ、はい。散歩をしてました。試験勉強に疲れたので」
言われて初めて気が付く。
そういえば、もうまもなく中間テストが始まるのだった。すっかり忘れていた。
「そうか・・・。それじゃ、読書の秋ならぬ勤勉の秋、といくかな」
「?」
きょとんと首を傾げる直斗。
なんだか、仕草が可愛くてこのまま別れを告げるのが惜しくなってきた樹はそうだ、と手を打った。
「直斗は気晴らしなんだろう? それじゃ、釣り、しないか?」
「釣りですか?」
少し考えるそぶりを見せる直斗。
その顔はまるで推理しているかのように真剣な表情をしていた。けれど中身は釣りをするかどうかで悩んでいるのかと思うと可愛らしく見えてくる。
なんだかおかしいな。と自分の心境の変化を思う。
直斗が女の子だと分かった瞬間から、彼女への見方が変わってしまった。すべての行動が可愛くてしょうがないのだ。
突っ張って見せていても、そのほとんどは自衛で来るものかと思うと逆に護ってあげたくて仕方がなくなる。
本人はきっとそんなことを望んでいないのだろう。女の子として扱うよりも、対等な仲間として扱う方が喜ぶような気がするが、もう無理だ。
樹の中では、直斗は女の子に変わってしまった。
確かに真実を追う仲間として対等に接するが、それ以外のところでは護ってあげたい可愛い女の子になってしまったのだのだ。
実際に触れた手は小さくて柔らかいし、肩も華奢だ。表情はあどけないけれど、確かに少女としての色気もある。
これを見て感じて今更男のように扱うなんて出来ない。
そこまで考えて、ふと気が付く。
「もしかして、好きになりかけてる?」
ここまで気に掛けている女の子は他にいない。
確かに千枝も雪子もりせも可愛い女の子であることには変わりはないが、こんなにも思い入れは強くはない。
今まで出会ったどの女の子よりも気になってしょうがない自分を自覚したとたん、何が何でもこの後は一緒に過ごしたくなってきてしまった。
「あの、先輩?」
「あ、ああ。ごめん」
一人でぶつぶつ言い出した樹を訝しげに見上げた直斗の上目使いが可愛い。
「それで、釣りなんですけど」
「うん」
「僕、釣りをしたことがないので・・・」
「じゃあ、教えるよ。一緒にやろう?」
「いっ、一緒にですか!?」
「嫌?」
「イヤ、じゃないですけど・・・」
困ったように眉を寄せるのも可愛い。
ああもう、重症だと思いながらさらにいう。
「釣った魚はあげるし、釣りの後は一緒に勉強をしよう? 俺で分かるところは教えるから」
「え、えええっ!」
驚く顔も可愛いな。と思いつつ笑みを浮かべる。
「明日も学校の図書館で試験勉強するから一緒にやらない?」
どうしたら異性として興味を持ってくれるかな、と思いつつすでに明日以降の約束も取り付けようとする樹なのであった。
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秋の話はどこいった(笑)
最初は確かに秋らしい話を書く予定だったのにいつの間には番長自覚話に・・・。
あれですね、うちの番長は肉食男子ですね。
これで草食なんてありえないわ(笑)
そんな訳で小話でした~。
また次回!^^
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