遅くなりましたー。
主直で小話!
前回の主人公視点でございます。
相変わらず短いです^^;
さらっと読み流してくださいな。
ではさっそくどぞっ!
『ニブイヒト』
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さっきからずっと、直斗がそわそわとしているのには気がついていた。
あんなに強い視線を受けて気がつかないほど鈍くはない。
それに、本当は直斗が何を求めているのかは気がついていた。
けれど、あえてそれをしないのは単に俺の我がままだったりする。
だって、誰だって好きな子に好意を態度で示してくれたら嬉しいだろう?
直斗はいつも控えめで、はにかむような笑顔をそっと浮かべるぐらいだからこうして今、俺にしてほしい事があるのだと表現してくれるのがすごく嬉しかった。
今だってほら、頬を赤く染めて笑みを浮かべる直斗から、俺をどう思っていてくれているのかが分かって嬉しい。
たまらなくなって、俺は直斗の手を取った。
直斗が息を呑むのが分かった。
目を大きく見開いて、こちらを見上げる。
そのまま動かなくなってしまった直斗がおかしくて俺は小さく噴出す。
そして彼女が我に返る前にその小さな唇に俺の唇を重ねる。
柔らかな感触は名残惜しいけれど、一瞬で離して改めて直斗を見た。
彼女は何をされたのか分からなかったのかしばらく表情を変える事は無かったけれど、やがて事態が飲み込めたらしい直斗の顔は真っ赤になって、それこそ沸騰しそうなほどで俺はさらに笑ってしまった。
だけど、次に出てきた直斗の言葉に今度は俺のほうがきょとんとしてしまった。
「キ・・・
ス、を望んでたんじゃありません!」
悲鳴に近い声で叫ぶ直斗。
「あれ? 違ったの?」
間抜けな俺の声。
「こ、こんな往来で! もう知りません!」
ずかずかと足早に歩き出してしまった直斗を呆然と見送る。
まぁ、なんだ。
正直なところ「えー・・・」と言いたいところなのだか、そこは今言う事ではない。
慌てて彼女を追いかける。
だから、俺は知らなかった。
彼女は怒っているのではなく、ただ照れていたのだという事を。
彼女の表情がそれを証明していた事を、背中を追いかけていた俺には見えなかったのだった。
*****
鈍い・・・というか、勘違いをしていた主人公でありました。
まぁ、急に近寄ってきたりされたらそれなりの事をして欲しいと表現していると思ってもしょうがないよねー。というのが主人公の言い分だと思います(笑)
これにて『ニブイヒト』は終了~。
ニブイのは二人ともだったという話でした^^
では、また次のお話で!
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